心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは?
心的外傷後ストレス障害(Post-Traumatic Stress Disorder:PTSD)は、事故・災害・虐待・暴力・戦争体験など、命に関わる出来事や強い恐怖体験の後に心と体に残る反応です。
強い体験が過去のものでも、フラッシュバックや強い不安、回避行動などの症状として現れ、日常生活や仕事・学業に支障をきたすことがあります。
原因には、トラウマ体験そのものやストレスへの脆弱性が関係していると考えられています。
主なタイプには、急性型(発症から3か月以内)、慢性型(3か月以上続く)、遅発型(体験から半年以上経過してから症状が出る)があります。
心的外傷後ストレス障害に見られる症状
精神的な症状
- フラッシュバック(過去の出来事が繰り返し思い出される)
- 回避行動(体験を思い出す場面や人、場所を避ける)
- 過覚醒(警戒心が強く落ち着かない)
- 怒りやすさ、情緒の不安定
身体的な症状
- 動悸、呼吸の乱れ
- 睡眠障害(寝つきが悪い、夜中に目が覚める)
- 頭痛や筋肉の緊張
- 消化器症状(腹痛、胃の不快感など)
- 緊張感、疲労感
心的外傷後ストレス障害に対する治療法
治療の目的は、「トラウマ体験の影響を和らげ、日常生活を安全に過ごせる状態にすること」です。
- トラウマ焦点化療法(EMDR、持続エクスポージャーなど)
- 薬物療法(SSRIなど)
- 心理教育や安心できる環境での支援
POINT
PTSDは、「気の持ちよう」や「弱さ」の問題ではなく、治療によって改善できる病気です。症状を軽減し、トラウマ体験に振り回されずに日常生活を送れるようになることが可能です。
体調やこころの変化は、誰にでも起こり得ることです。
「最近なんとなく調子が悪い」「以前より気分が落ち込みやすい」と感じた際は、一人で抱え込まず、まずは自分の状態を整理してみることが大切です。
少しの変化でも早めに気づき、必要なサポートを受けることで、安心感を得やすくなります。
どんな小さな不安でも、受け止めてもらえる環境や相談先があることを知っておくことが、回復への第一歩になります。